私たちが借りた部屋は大通りに面していて、2~3軒先に銭湯がありました。
其処は温泉で、入り口左のガラス戸に、(熱がある人は入らないでください)
と書いてありました。
三男坊の兄は同居してから毎日張り切って新しい勤めに通っていましたが、
1か月位経ったある日、帰宅したら兄が布団の中で寝ていました。
風邪を引いたみたいだと言います。
熱があったけれど帰ってきて銭湯に行ったとか、「熱のある人は入らないでくだ
さいと書いてあった」言っていました、入ってから気が付いたみたいですが、
その時は大したことだと思って居ませんでした。
その後戻ってきた長兄と病院に行き、そのまま入院をしてしまったのです。
1週間ほどして、兄が退院だと聞いたその日の午後5時ごろ、お向かいの部屋の奥
さんから会社に電話が入りました。 兄がトイレで倒れ、お医者様を呼んだと言
う話に驚いて日比谷から帰宅したところ、部屋には次兄が寝ている兄に付き添
い、お医者様と看護婦さんが輸血をする支度を急いでいました。
話によると朝退院した兄はその足で良くしてくれた飲み屋さんや周りの人に会い
に行ったそうです。 そこで勧められてお酒を飲んだのが悪かったのでしょう
か。 帰宅してトイレに入り大出血、着ていた浴衣を脱いで血を拭いていて倒れ
たと言います。
寝ながら次兄と話しているのを聞いて居て、早く輸血が始まらないかと願って
いましたが、 静かになった兄は疲れたのか目を瞑って休んでいるようでした。
そんな寝顔の兄を見ていた時、突然兄の頭が枕から外れたので吃驚。
「ご臨終です」と言うお医者様の声に「え、まさか!」の想い。
死ぬなんて思わなかった兄は、25歳で不安な声もなく逝ってしまったのです。
兄の亡骸は蒲田の実家に運ばれて、出迎えた父に「済まない、済まない!」と
言われながら棺に納められました。
葬儀社の方が、白い死に装束を兄に着せかけ、胸に刀を置き、
それから草鞋と【杖】が、
その【杖】を見た時の私の驚き!、
錫杖と呼ばれるその杖は、祖母の通夜で枕元に立って居た人が持っていた杖と
同じです。
(この杖は死んだ人と関係がある) 其の時そう思いました。
祖父母の家は神教で、家には「霊神様」が祀られていました。
死んだら神様になって、奥津城に入ります。 仏教で無かった
その後、その杖の事を知るため、本屋さんに行きました。
そこで見た写真に又もや大仰天!、吃驚するとは思いませんでした。
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