中伊豆の宿での怪異(1)

もう37年程昔の話になります。

次女が結婚した頃。

私達夫婦と娘夫婦の4人で伊豆旅行に行きました。

ゴールデンウイークだったでしょうか。

娘が拾ってきた子犬を乗せて、

宿を取りたいと思っても、急な思い付きでは何処も空いて居ません。

旅の本でやっと探した民宿は未だ新しくて、部屋数10室くらいでしょうか。

行って驚いたことにこの宿、今の季節にガラ空き。

そして又驚いたのは、トイレと浴室に行く廊下一面に敷かれている真っ白なバスタオル。

幾つか有るトイレの中も全部ビッシリ白いタオルが便器を巻いて敷き詰められて(え?、)

何だか異様でした。

旅館中央辺りの玄関を入って、板の間。真っ直ぐ先に階段があり、二階の部屋に通されます。

階段を何段か上がると少し広い踊り場が有って、ガラス窓から外の景色が見え、

それから折れ曲がってÙターン、又階段を上がると二階に到着。

階段途中の踊り場から見た向こう側に、卵塔の白く苔むした古いお墓が何基か有りました。

山すそを削って、この宿は建てられたばかりのようです。

階段を上がった真正面の部屋が私達の部屋で、娘夫婦は其の隣部屋。

(後で考えたら、私達の部屋はこの宿の玄関上に当たり、古いお墓の真正面でした。)

休む時、私は部屋の真ん中に寝て、、お墓に足を向けていたのです。

宿に就いたら交代でお風呂に入り、夕食を待ちます。

その間、玄関周りを歩いた居たら、上の道から男の人が降りて来て、ご主人を呼び、

「済みません、上の○〇館の者ですが、お客様が一杯で困って居るのですが、何人か受け入れて貰えないでしょうか?」

とお願いをして居ました。

出てきたご主人の答え。

「うちも満員で駄目です」って何?

此の忙しい時期、何処を見回しても、私達4人の他には、お客様なんていません。

思わず主人と顔を見合わせました。

これは御主人の意地?。

武士の高楊枝でしょうか?。

周りには遊びに出る歓楽街も無く、部屋で喋りあった後、

座卓を右に寄せ、お布団を2つ敷いて、主人が左側、私が右側に休みました。

私は座卓と主人の真ん中に寝てお墓に足を向けて寝ていたのです。

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