中伊豆の宿での怪異(2)続き

どの位眠ったのでしょうか?

冷房が弱かったのか、暑いのでお布団を蹴飛ばしてしまったようです。

明け方近い気配で、 ふと気が付いたら~、

誰かがそっと私の右足を掴んで居るようです。

主人かな?、

なんて軽く思った瞬間、気が付きました。

左側に寝ている主人が右足を掴むでしょうか?。

おかしいと思い、薄暗がりの中、首を上げ、足元を見て固まりました。

上半身丸裸の女の人が寝そべって、私の足を掴んで居ます。

肉付きの良い、弁天様のように、ふくよかな身体を見、大きく見開いた瞳にぶつかり、

ものが言えない、身動きできない。

金縛り状態になってしまった儘、叫ぼうにも身体が固まって声が出せません。

怖さはあまり無かったのですが、起きられない。

でも何だか右手だけが動かせて、

主人の手が、私のお腹に乗って居る。と思いました。

動く右手で、其の主人の手を何回もつねりました。

「起きて!、起きて、」と願っても起きません。

足は握られた儘、固まった状態が非常に長く感じられました。

どうなるんだろう、と思った時。

隣の部屋で小さく「ウゥン~、」とお婿さんが寝がえりしたような~、

その途端、呪縛が解けたように、いきなり身軽になりました。

「起きて、起きて!、」と左手をバンバンさせて主人を起こし、

「見て!、見て、私の足元に誰かいる」

と言いましたが、寝ぼけ眼で、「誰も居ないよ」って、

入口も窓も、鍵が掛って閉まったまま、消えてしまった裸の女性。

ひと騒ぎして、

明るくなってから朝風呂に入り、両手を伸ばして擦り合わせました。

「え?、」気が付いたら左手が痣だらけ。

主人の手を抓った積りが、自分の左手だったのですね。

隣の床の主人が載せられる距離ではない。

それから35年以上になります。

5年ほど前、

「あの旅館、もう無いかもね、」

と言いながら中伊豆を通ったら、有りました。

(昨日パソコンで調べたら未だあるようです)

伊豆は北条家ゆかりの地で、私の実家は丸に三つ鱗紋。 (北条と同じ)

何か不思議な関連が有るのかも知れない、なんて思いました。

2024年、あと1カ月くらいで私は90歳になります。

もし元気で居られたら、もう1度あの宿に泊まって、

お墓を拝んで上げたい、

そう思って居ます。

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